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2018年9月30日 (日)

005-2 犬神家の一族

 『犬神家の一族』において、2種類ある具象画バージョンは、ある種姉妹作と言えるくらい似ている。最初のものは、最上部に犬神家のお屋敷を配し、左手前に喪服を着た婦人の上半身という構図は共通。こちらのバージョンでは、バックに二人の登場人物の顔(一部)を浮かび上がらせ、色調的にはカラフルながら上品なトーンに仕上げている。なお、杉本氏の原画では、作中「スケキヨ」氏と言われている人物の左目付近から、鮮血が飛び散っている。それは文庫カバーにはない(注)。書名・作者名等の囲み罫の位置と被るための処置だろうか。

 昭和51年、本作が角川映画の第1弾として映画化された折に、次項の第3バージョンに「映画版の販促ポスターと合わせるために変更になった」というようなことが言われているが、映画の公開は同年10月16日で、下記の記録を見る限り少なくとも11月初旬までは旧バージョンも売られていたことがわかる。むしろ、映画の思わぬ大ヒットを受けて、急遽、映画・フェア用のイラストに合わせてカバーが差し替えられたというのが真相だったのではないか。ちなみに僕が確認できた第3バージョンの最も早い版は、同年12月15日発行の39版である。とはいえ、あらためて見てみると、8月の22版から11月の38版まで実に17版が出されていたのであり、この時期、いかに本文庫・本作品の売れ行きがすごかったかをうかがうことができる。

※確認済みの版

19版(昭和51年6月20日発行)
22版(昭和51年8月20日発行)
27版(昭和51年10月25日発行)
31版(昭和51年11月6日発行)
32版(昭和51年11月8日発行)
33版(昭和51年11月9日発行)
36版(昭和51年11月11日発行)
37版(昭和51年11月12日発行)
38版(昭和51年11月25日発行)<<第2バージョン最終

注)昭和51年の映画化にあたって、角川文庫に挟み込まれていた横溝正史フェアの小ちらしや「映画優待割引券」付きしおりにも、この第2バージョンと同じ絵が使われているが、これらにも鮮血は飛び散っている。

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