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2018年10月 8日 (月)

013-1 白と黒

 金田一耕助ものの『白と黒』。旧版文庫でも500ページを超える大長編で、都会を舞台にした本格ものを書きたい、という作者の意欲が伺える作である。元々は「渦の中の女」という短編で、『金田一耕助の冒険』に収められた「ーーの中の女」というシリーズ中の一作だったという。

「 このシリーズは昭和三十二、三十三年の両年にかけて「週刊東京」に断続的に発表された。この掲載誌は東京新聞社から発行された週刊誌で、現在はない。当時、著者と島田一男、高木彬光の三氏交替で、一話二回続きの作品を長期間連載した。その際、著者は題名をすべて「ーーの中の女」で統一している。」中島河太郎氏「解説」、角川文庫版『金田一耕助の冒険』

 上記「週刊東京」の昭和32年11月2日号、9日号に掲載された「渦の中の女」を元に、共同通信系の新聞に昭和35年11月6日から翌36年12月19日まで連載されたのが本作。浜田知明氏によれば、「原型版の約二十二倍もの長さになっている。」という。この改稿前の版は、出版文芸社・刊の『金田一耕助の帰還』(現在は、光文社文庫所収)で読むことができる(注)。

 角川文庫版『白と黒』初版の表紙は、コンクリートで作られた都会の団地で発見された女性の死体という物語に沿ったモチーフを用いているが、それを久里洋二氏のイラストレーションばりのポップな色使い、構成で描いている。これもある種、杉本氏の初期様式の装画の部類にあたるのだろう。タイトル等の囲み罫も立体風にして、全体のトーンも絵に合わせている。

※確認済みの版
初版(昭和49年5月30日発行)
5版(昭和50年3月20日発行)<<旧バージョン最終

(注)光文社文庫版の「作品解説」(浜田知明氏)には、「渦の中の女」と「白と黒」の間に、「黒い蝶」(「サンデー小説」昭和34年6月21日号〜)という、もう一つの改稿版(中断作)が存在したという説が紹介されている。

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