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2018年11月10日 (土)

040 金田一耕助の冒険

 『白と黒』の項でも触れたように、『金田一耕助の冒険』は「ーーの中の女」というシリーズ名を持つ短編を11作集めている。1作を除き、「週間東京」に断続的に連載された。その意味では、作者の中で金田一ものの短編を連作するというな思いがあったのだろう。以下、収録作を執筆順に示す(冒頭の番号は、本文庫の収録順、( )内の日付は連載掲載号のもの)。

6)「夢の中の女」(昭和31年7月号)<「読切小説集」に「黒衣の女」のタイトルで掲載
1)「霧の中の女」(昭和32年1月12日、19日)
7)「泥の中の女」(昭和32年2月23日、3月2日)<連載時タイトルは「泥の中の顔」
5)「鞄の中の女」(昭和32年4月6日、13日)
3)「鏡の中の女」(昭和32年5月18日、25日)
4)「傘の中の女」(昭和32年6月29日、7月6日)
10)「檻の中の女」(昭和32年8月10日、17日)
2)「洞の中の女」(昭和33年2月8日、15日)
8)「柩の中の女」(昭和33年3月22日、29日)
11)「赤の中の女」(昭和33年5月3日、10日)
9)「瞳の中の女」(昭和33年6月14日、21日)

 ただし、「壺の中の女」(昭和32年9月21日、28日)は『壺中美人』に、「扉の中の女」(昭和32年12月14日、21日、28日)は『扉の影の女』に、「渦の中の女」(昭和32年11月2日、9日)は『白と黒』に、それぞれ改訂され長編化されている。ところで、この『金田一耕助の冒険』のカバーは、極めて貴重である。なぜなら「緑三◯四」シリーズ中、杉本一文氏が唯一、金田一耕助その人を描いた表紙画だからである。我を忘れて推理をしているところだろうか。額にしわを寄せて、もじゃもじゃ頭をかき回している。

<<表紙のみ一致

 この角川文庫版の『金田一耕助の冒険』は、 先行した春陽堂版の『横溝正史長編全集(20) 金田一耕助の冒険』(昭和50年11月20日発行)に、「赤の中の女」を加えている。 ちなみにこの「赤の中の女」は、「アサヒグラフ」昭和4年8月7日、14日、21日号に連載された「赤い水泳着」という先行作を、金田一ものに改作した作品であった。この元稿は、出版芸術社・刊の『赤い水泳着 (横溝正史探偵小説コレクション) 』で読むことができる。

※確認済みの版
初版(昭和51年9月10日発行)
4版(昭和51年10月20日発行)
8版(昭和52年4月30日発行)
9版(昭和52年5月10日発行)
12版(昭和52年10月30日発行)
16版(昭和54年9月20日発行)

 さらにこの作は、「緑三◯四」シリーズで唯一、改版されて新しい番号をもらっている。『金田一耕助の冒険1』(緑 三◯四 -64- )『金田一耕助の冒険2』(緑 三◯四 -65- )の2巻がそれである。ただし、表紙画は和田誠氏が担当になっている。いずれも昭和54年6月10日初版だが、この年の7月14日に同名の映画が公開されている。それを当て込んでの改版だったろう(ただし、上記版情報を見ると、昭和54年9月20日にまだ1巻本も発行されていた)。実際、表紙の絵は古谷一行氏の金田一、裏表紙の絵は田中邦衛氏の等々力警部の似顔絵である。

『金田一耕助の冒険1』「霧の中の女」「洞の中の女」 「鏡の中の女」 「傘の中の女」「瞳の中の女」「檻の中の女」
『金田一耕助の冒険2』「夢の中の女」「泥の中の女」「柩の中の女」「鞄の中の女」「赤の中の女」

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