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2009/11/14

『新約本文学演習』マタイ福音書

 Yahoo!オークションで見つけた希少本(1981年、新約研究社・発行)。

 昭和の後半、我が国の新約本文学をおひとりで担ってきたと言っても過言ではない蛭沼寿雄先生の労作である『新約本文学演習』の第2巻目「マタイ福音書」が出品されていたので入札したところ、開始価格1250円と格安の値段でそのまま落札できた。今日、その便が届いて、今ちょうど中身を眺めているところ。実は同時に同じ方(古書店)がシリーズの第1、3冊目である「マルコ」と「ルカ(1)」、そして『ギリシャ語新約語法』も出品されていて、これらはすでに僕は所有していたのだが、「マルコ」だけあわせて買っておいた(こちらも1250円と格安!)。

 マタイ福音書から242箇所を取り上げ、主要な写本の読みを紹介した上で、筆者の判断、時に他の学者、校定本文の判断をあわせて示すというスタイルで書かれている。取り上げた異同の箇所は「連合聖書協会版の異文指示箇所に依った」ということだが、「それ以外の箇所もある」とのこと(同書「序」より)。おそらく自主出版に近い本であり、発行され流通していた部数自体、きわめて少ないと想像される。元々は蛭沼先生が個人で編集発行されていた『新約研究』というコンパクトな月刊冊子(これもおそらく空前絶後の労作である!)の連載記事をまとめたもの。僕はこの冊子の合冊本を神田の友愛書房さんで買って持っていたが、『新約本文学演習』の方はなかなか手に入らなかったのである。2年に一度くらい友愛書房さんの月刊在庫リスト「キリスト教在庫目録」に載ることがあるが、それを見て勇んで電話をしても優しい店主さんが悪そうに「あー、それは売れてしまいました」と言う言葉を聴くばかりであった。それも1度ならず2度、3度も! 10数年来この本を探していた僕でさえ、1年ほど前に「マルコ」と「マタイ」がリストに載った際に、ようやく「マルコ」だけ買えたわけだから、いかに珍しいかわかっていただけると思う。ちなみに「ルカ(1)」は、これも10年以上前に、銀座の教文館で新品で買った。

 新約聖書のギリシャ語本文!の細かな情報・蘊蓄を日本語で得るには、マルコやマタイについては田川建三氏の大著『新約聖書 訳と註』を丹念に読むのが今では一番近道と思われるが、少なくとも本文異同に関してはこの『新約本文学演習』シリーズの方が数段詳しい。もし古書店等でこの本をお見かけの方は、その場で買うべき本と憶えておいてください、ぜひ!

※ご報告が遅れたが、その後、『新約本文学演習マルコ・マタイ』ほかの先生の代表的な著作が、「蛭沼寿雄著作選集」全三巻として新教出版社から出た。このような貴重な本が手に入りやすくなったのはいいことだ。2012年の注記

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