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2018/05/20

聖書協会共同訳

 「新共同訳」に続くカトリックとプロテスタント諸教派による新しい共同訳が出るという。本文批評とは直接関係はないが、 ネットで公開されている「聖書 聖書協会共同訳(特徴と実例)」という小冊子によれば、

「(一)新しい底本
 聖書協会共同訳の底本は、旧約がBHS、分冊が出版されていればBHQ、新約がネストレ28版に基づくUBS第五版、そして続編がゲッティンゲン版です。」

とのこと。新しいネストレ28版が底本になるということで、これは期待がもてる。新翻訳聖書の編集委員のひとりで、ネストレ28版の「序文」を翻訳されている津村春英氏は、「それでも新聖書翻訳」という小文(https://www.bible.or.jp/know/know31/h_02.html)を寄せている。そこでは、「とりわけ公同書簡の本文については、三四箇所の本文の変更が見られる。」とし、実際に「ヨハネの手紙1」の5章18節について、本文改訂の必要性を指摘している(『聖書事業懇談会講演録1(日本聖書協会・刊)』にも収録)。

<1ヨハネ 5:18>
口語訳「神から生まれたかたが、彼を守っていてくださるので、悪しき者が手を触れるようなことはない。」
改定案「神から生まれた者は自分自身を守り、それで悪しき者が彼に触れることはありません。」

 これはネストレ28版が、「アウトン」(彼を)から、シナイ写本などを証拠とする「ヘアウトン」(自分自身を)に本文を変更したため。こうした本文異同については、「聖書協会共同訳では、底本を離れる場合の「異読」、 他の翻訳聖書と解釈が大きく異なる場合の「別訳」、ま た、「言葉遊び」、などの脚注を付けます。(「聖書 聖書協会共同訳(特徴と実例)」)」とのことである。こうしたことは、これまではなかなかできなかったことだろう。今回の翻訳事業にあたっては、2015年12月よりパイロット版を頒布し、感想の受け付けも行なっていた(2018年3月31日をもって終了)。多くの意見を聞くことが、単純に良い翻訳につながるとは思えないが、訳語だけでなく翻訳事業自体を開かれたものにする試みとして、評価できるのではないだろうか。

 ちなみに新翻訳聖書は、現在、校正段階に入っており、2018年12月に刊行予定だという。

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