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2018年2月22日 (木)

『帝国』の終楽章と序曲ニ長調について(その2)

 前回、ハイドンの交響曲第53番ニ長調『帝国』、その終楽章の初期稿 Version B と、その原曲である序曲ニ長調 Hob. Ia:7 について、その相違点等を調べてみた。今回は、その補遺として、既存の音源等で演奏者たちがどのような選択をしているかを整理しておきたい。ちなみにこの曲の冒頭には「Largo maestoso」の序奏がついており、これは後の追加と見られている。ただし、僕が聴いたものでは、全録音においてこの序奏つきで演奏されている。

 まずは『帝国』の終楽章の選択から見ていこう。第4楽章として Version B を採用している演奏に以下の盤がある(いずれもフルート、ティンパニ使用)。
1)マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ管
2)ドラホシュ指揮ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア
3)フィッシャー指揮オーストリア・ハンガリー・ハイドン管

 次に終楽章として Version A を使う盤(いずれもフルート、ティンパニ使用) 。
4)クイケン指揮ラ・プティット・バンド
5)ヘンヒェン指揮C.P.E. バッハ室内管
6)アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントス・ムジクム
7)オルフェウス室内管
8)カルマー指揮オレゴン響
9)ディヴィス指揮シュトゥットガルト室内管

 Version B および A を両方収録した盤も少なからずある。
10)メルツェンドルファー指揮ウィーン室内管(A、Bの順。A、Bはフルート、ティンパニ使用)
11)ホグウッド指揮アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(A、Bの順。A、Bはフルート、ティンパニ使用)
12)鈴木秀美 指揮オーケストラ・リベラ・クラシカ(A、Bの順。Aはフルート、ティンパニ使用。Bは別日にアンコールで演奏された都合で、ティンパニなし)
13)ファイ指揮ハイデルベルク響(A、Bの順。A、Bはフルート、ティンパニ使用)
14)ミラー指揮ロイヤル・ノーザン・シンフォニア(A、Bの順。A、Bはフルート、ティンパニ使用)

 さらに前発言の注でも触れたが、4つの終楽章のヴァージョンをすべて収めた版も2種ある。
15)ドラティー指揮フィルハーモニア・フンガリカ(B、A、C、Dの順。A、Bはフルート、ティンパニ使用)
16)ボストック指揮ボヘミア室内フィル(A、B、C、Dの順。チェンバロ使用。A、Bはフルート、ティンパニ使用)

 少し古い録音だが、珍しく終楽章に Version C を使った盤があるので、参考盤として挙げておく。このヴァージョンを聴かれた先達の方は皆「ハイドンらしくない」とおっしゃる。確かにそうには違いないが、どこかハイドンの作風を現代によみがえらせたプロコフィエフの『古典交響曲』のような響きがして、正直、僕はおもしろく聴いた(Cはもともとフルート、ティンパニなし )。
17)ザッハー指揮ウィーン交響楽団(全楽章にティンパニなし)

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18)フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団(1〜3楽章にティンパニーあり)

 また Version D と呼ばれることのある序曲ニ長調 Hob. Ia:4 には、以下の音源がある。この曲はハイドン作であることは間違いない。ランドンが「最終的なフィナーレと見るのが妥当なように思われる」とまで書くだけあって、機知に富んだ楽しい曲である。なによりも第1楽章の主部・ヴィヴァーチェと雰囲気がよくあっている。
19)ブッシュ指揮ウィーン響
20)スワロフスキー指揮Vienna Philharmusica Symphony Orchestra?(他、複数の表記あり)
21)フス指揮ハイドン・シンフォニエッタ・ウィーン

 最後に、序曲ニ長調 Hob. Ia:7 の録音を挙げる。
22)朝比奈隆 指揮 新日本フィル(フルート、ティンパニ使用)
23)フス指揮ハイドン・シンフォニエッタ・ウィーン(フルート、ティンパニ使用)
24)ヤンソンス指揮バイエルン放送響(フルート、ティンパニ使用)
25)ファイ指揮ハイデルベルク響(フルート、ティンパニなし)

『ハイドン音盤倉庫』さんのサイトによれば、『帝国』には他に幽霊指揮者として有名な?リッツォ(Version A)、グシュルバウアー、ヴィーラントの各盤がある。「Hob. Ia:4」には、フロシャウアー盤もあった。

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