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2020年5月 4日 (月)

モーツァルトの全自作品目録(その6、1789年)

<第20葉・裏>(続き)

1月に 1789年

(102,) ドイツ語のアリア 2 vn, va, 2 ob, 2 bn, 2 hr
  と bassi – 強いられることなく自らの心より 以下続く:
 (K.569/散逸)

2月

(103,) ソナタ クラヴィーア独奏のための
 (第16番変ロ長調 K.570)

同21日

(104,) 6つのトイチェ – 2 vn, 2 fl, 2 ob, 2 cl, 2 bn,
  2 tpt, timp, flauttino と bassi さらに トルコの音楽(楽器)
 (「6つのドイツ舞曲」K.571)

4月29日 ポツダムにて

(105,) 6つの変奏曲 クラヴィーア独奏のための  デュポールによるメヌエット上の
 (ニ長調 K.573)

注記: 3月に スヴィーテン男爵のために ヘンデルのメサイアを
   編曲
 (K.572 ※次ページに冒頭楽譜なし)

<第21葉・裏>

5月17日 ライプチヒにて

+(106,) 小さなジーグ クラヴィーア独奏のための エンゲル氏の記念帳に
  ライプチヒのザクセン選帝侯: 宮廷オルガニスト

 (ト長調 K.574)

6月に ウィーンにて

+(107,) 四重奏曲 2つのヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための 陛下のための
  プロシャ王
 (第21番「プロシャ王四重奏曲 第1番」ニ長調 K.575)
 (説明文の全体の意味は、「2つのヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための プロシャ王陛下のための」というような意味になる。上記は、原語の行分けに合わせた)

7月に

(108,) ソナタ クラヴィーア独奏のための
 (第17番ニ長調 K.576)

――――――――――――

   

(109,) ロンド 私のオペラ フィガロへの フェラレーゼ・デル・ベーネ夫人のために –
  2 vn, va, 2 bst-hr; 2 bn, 2 hr と bassi
 (「あなたを愛している人の望みどおり」K.577)

8月

(110,) アリア オペラ 二人の男爵 への ルイーズ・ヴィルヌーヴ嬢のために
  2 vn, va, 2 ob, 2 bn, 2 hr と bassi – 大いなる魂と高貴な心は 以下続く:
 (K.578)

(検討)
 ケッヘルでは、(104,)のあとに、未完成の四重唱「いとしのわたしの食いしんぼさん」(571a)と、弦と管楽器、タンバリンによるメヌエット(571A)の断片があった。
 他に、(107,)とそれに続く計3曲の「プロシャ王四重奏曲」からみで、年末から翌年初めにかけて、いくつかの断片が知られている(Anh.77、84、71)。
 他に、ケッヘル6版で(108,) からみと想定されたメヌエットが2曲(576a、576b)あったが、現在ではその想定は否定されている。
 (109,)は、「フィガロの結婚」K.492 の再演でスザンナを歌ったフェラレーゼのための代替曲だが、同じオペラ・ブッファへの挿入曲であるロンド「私の胸は喜びにおどるの」K.579 は、なぜか目録に記載がない(自筆のピアノ譜もある)。

<第22葉・裏>

9月17日

−(111,) アリア オペラ セヴィリアの理髪師 への ホーファー夫人のための
  2 vn, va, 2 cl, 2 bn, 2 hr と bassi –
  やさしき春はもうほほえむ
 (K.580 ※ −記号はお皿型に曲がっている)

同29日

(112,) 五重奏曲 1つのクラリネット、2つのヴァイオリン、ヴィオラとチェロで
 (イ長調 K.581)

10月に

+(113,) アリア オペラ 気むずかし屋 への ヴィルヌーヴ嬢のために
  2 vn, 2 cl, 2 bn, 2 hr va と bassi
  誰が知るでしょう、いとしい人の苦しみを 以下続く:
 (K.582)

+(114,) 同 –––  –––  –––  –––

   私は行きます!でもどこへ – さあ大変! 以下続く:
     (K.583)

12月

(115,) アリア オペラ 女はみんなこうしたもの への
  ベヌッチのための 私に目を向けなさい 以下続く: –
  2 vn, va, 2 ob, 2 bn, 2 tpt, timp と bassi 
 (K.584)

<第23葉・裏>

12月に

(116,) 12のメヌエット 2 vn, 2 fl, 2 ob, 2 cl, 2 bn, 2 hr,
  2 tpt, timp, flauttino と bassi で
 (K.585)

(117,) 12のトイチェ 同じ楽器編成で NB (※二重下線)コントルダンス
            英雄コーブルクの勝利
 (「12のドイツ舞曲」K.586、K.587)

(検討)
 多作の年・1788年に続く1789年には、11曲のフラグメントが残る。その中でも一番の大物は、(111,)パイジェッロのオペラ「セヴィリアの理髪師」に出演する予定だった義姉ヨーゼファ・ホーファーのために書いたアリア K.580 だろう。上のように全自作品目録には載っているが、歌唱声部が終わったあとのリトルネッロの部分が未完成になっていた。新たな番号は、Fr 1989h。ちなみに、作曲の中断は、このオペラの上演が実現しなかったためだろうか。
 (115,)のあとには、クラリネット協奏曲 K.621 の原曲、バセットホルン協奏曲(584b)が位置付けられていたが、現在では早い場合、1787年まで遡る可能性があるとアラン・タイソンは考えている。
 (116,)のクラリネット五重奏曲からみの曲としては、かつてはクラリネット、バセットホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの五重奏曲の断片(580b)が想定されていたが、現在ではこちらも1787年の作とされている。ちなみにこの曲は、上のバセットホルン協奏曲と同じ五線譜(WasserZeichen 84)を使っている!(ともに2種類の用紙を使っているが、その内の一種)。
 また(117,)のあとに、ト短調の弦楽四重奏曲の断片(587a)があった。この曲の楽譜の裏面には、翌年作曲のオペラ・ブッファ「コシ・ファン・トゥッテ」(K.588)の第2幕フィナーレに登場するカノンのスケッチが書かれていることで知られている。

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