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2020年5月11日 (月)

ジングシュピール『慈悲深い托鉢僧』(その10)

 ところ変わって、バゾーラでは・・・ツェノミーゼとマンドリーノが二人で、彼女たち女性の魅力が男たちをとりこにできることを誇っている。二重唱(イ長調)。女性2声がずっと同じ歌詞を同じリズムで歌う単純な構成だが、ハーモニーが美しいので、後半部分を女召使いを混じえ、合唱で歌っても変化があって良いかもしれない。

「男は私たちの奴隷、
無邪気に、私たちがマスターであることを証しする。
私たちの一瞥で、やつらはもう子ども、
プライドもずたずた。」

もちろん、やつらは意味ありげで徳があるように見えるけど、
その勇者が恋に落ちると、
女の目は、勇気をも溶かす。
お日様が雪を溶かしてしまうように。」

 そこに托鉢僧が現れる。その正体は、ゾフラーノとマンドリーノ。彼らはアブカフ、ツェノミーデ、そしてマンドリーナに、エキゾチックなフルーツを薦める。それを食べた3人は全員、鼻が長くのび、お腹が膨れ上がる。ツェノミーデは二人の男たちを捕えようと軍勢を送り込む。しかし、登場した托鉢僧は、二長調の大アリアでもって、勝利を予言する。序奏でホルンの斉唱が活躍するなど、全体に管楽器が大活躍する。構成としても、ゆったりとした前半が途中で早いテンポに移っていく本格的なアリアになっていて、全曲中、最も格調の高い曲になっている。

「まもなくこの夢も過ぎ去り、
私は彼の幸せを見ることになるだろう。
私が優しく愛した息子よ、
深い、父としての愛でもって。
息子は子としての使命にあってゆるがない。
父は彼を見捨てることはない。
危険なとき、父は子を守った。
彼の助けが必要なときにはいつも・・・」

 立派過ぎるザラストロとはちょっと違って、この托鉢僧は人間らしい感情にも欠けていないようだ。そして、彼らを助け、敵を打ち破る。彼はそのとき男たちに、水をぶっかける。すると、マンドリーノのお腹や鼻は、見る見るうちに元の大きさに戻るのだった。

 次回は、いよいよ大詰め。

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