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2020年12月 5日 (土)

モーツァルト・イン・バスルーム

 先週、隣町のBOOKOFFに立ち寄ったところ、田舎にしては珍しくクラシックのボックス物のワゴンセールをやっていた。どなたかが所有CDを大量に処分したのだろうか? ショルティーのワーグナー・オペラ・ボックス(持ってます)やベートーヴェン作品の準全集(BMGが出したもの。持ってます・笑)など大物もあったが、中に以前から気にはなっていたモーツァルトのピアノ協奏曲全集が1300円で売られていたので、サルベージしてきた。アンネ・ローゼ・シュミットのピアノ、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルといういわゆる「東ドイツもの」で、「名曲名盤」本にはあまり登場しないものの、ネット上では評判の良かった全集である。女流ピアニストのモーツァルト/ピアノ協奏曲全集も結構あって、往年のヘブラー、クラウスに始まり、内田、廉価盤のピアッツィーニなど聴いてきたが、なぜかこのシュミット盤は買ってなかった。

 帰宅後、思い立ってこの盤を聴くために取り出してきたのが、「Bluetooth対応CDプレーヤー」&「ポータブル ミニ ワイヤレス Bluetooth スピーカー」。これでバスルームに音楽を持ち出そうというのである。風呂に入りながら音楽を聴くという考えは、実はこれまで僕の生活の中にはなかった発想だ。というのも、あまり長風呂は好まなくて、家人にも「もう入ったの?」とよく言われているくらいだったから・・・。とりあえず、3分割されている真ん中の巻、ピアノ協奏曲第12番イ長調から番号順に聴いていくことにしたが、これはこれでちょうど良い具合だった。脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入り、身体や頭髪を洗っている間におおむね第1楽章が終わる。その後、湯槽に浸かりながらゆったり第2楽章を聴き、その後、風呂からあがりパジャマに着替え、頭髪を乾かしていると終楽章が終わる・・・という感じで、1日1曲づつ聴いていくことができる。これが、マーラーやブルックナーの交響曲など大作となると、こうはいかない。

 シュミットのピアノはいかにも女流ピアニスト然した見かけによらず?、男性ピアニスト以上にきっちりとした打鍵で、構成力もある。マズアの、モーツァルトといえども決してなよなよしていないサポートもあって、ウィーン時代のモーツァルトがもっとも張り切っていた時代の協奏曲群を晴れやかに響かせている(>>こちらの記事「なぜモーツァルトのピアノ協奏曲には名曲が多いのか」を参照)。特に、1784年の冬から春に書かれた第14番変ホ長調、第15番変ロ長調、第16番ニ長調、第17番ト長調と続く一連の作品は、最後の第17番を除けばあまり聴く機会が少ないのだが、「予約制私的演奏会」向けに用意された意欲的かつ華やかな曲だけに、彼女・彼らの演奏の白眉だろう。またシュミットのピアノは、カデンツァになると一層のきらめきを見せる。元々の録音場所はドレスデンのルカ教会で、風呂場特有の残響も手伝って?これは最上のコンディションだ(笑)。いつまでも聴いていたいという幸せな時間・空間を味わった8日間であった。皆さんも機会があれば試してみては?

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