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2022年4月16日 (土)

「ウポポ」とはどういう音楽か?

 「土曜日の朝は、FM日和」。家事をこなしながら、あるいは仕事等で移動の途中、NHK-FM をずっと流している。番組的にはピーター・バラカンの「ウィークエンドサンシャイン」(7:20~)、ゴンチチの「世界の快適音楽セレクション」(9:00~)、最後に「邦楽百番」!(11:00~)という具合で、日頃あえて聴かないジャンルの音楽をたっぷり聴けるのは、何よりもうれしい。

 中でも「世界の快適音楽セレクション」は、「燃える愛の音楽」とか「ミラクルの音楽」といった1番組1テーマをもとに、クラシックも含む様々なジャンルの曲を20曲近くかけるという、まさに音楽好きのための番組。これは毎週、聴き逃せない。ところで番組の最後の方には、最新の音楽を紹介するコーナーがあって、今年1月末の番組で流れたのは「ハララルデ~ミトゥヌハチ~マイナルハトゥティ」という3曲。『ハララルデ~与那国のわらべうた~』(リスペクトレコード RES-337)からの紹介で、歌っていたのは太田いずみ、与那覇桂子、与那覇有羽の3名だった。「わらべうた」というにはなかなか味があって、音楽として十分楽しめる。どこかしら「なつかしさ」も感じられる温かい音楽だ。特に与那覇有羽さん(男性)は、他の女性2人に比べて一見素人ぽいのだが、それが平均律の音程とは微妙にずれている点も含め興味深い歌いぶりだ。短いが、このCDのPVビデオがあったので、下記にリンクを貼っておく。


https://www.youtube.com/watch?v=98UAADEQe_4

 一方、話は南の果てから北の果てに。昨年秋だと思うが同じ NHK-FM の番組「エキゾチッククルーズ」で、サラーム海上さんが担当の「伝統音楽の迷宮」を聴いた。リスナーのリクエストに応えての選曲だったと記憶するが、そこで流れた曲はまさに衝撃的だった。アイヌにルーツを持つ Marewrew(マレウレウ)という女性4人組のボーカルグループの曲で、タイトルは「Sikata KuyKuy」。4人が「シカタ―、クイクイ、ウーパス、ホンネー、ルーケェ、ハチナ(以上、カナは筆者の聞きなし)」という節を1拍づつずらし歌っていく。一種の輪唱のようでもあるが、音程は高く終わるものと、低く終わるもの2種があって、高く終わると次の歌い出しは高く始まる。で、次は低く終わり、次を低く歌い出す。で、次は高く終わり・・・という繰り返し。簡単に言えば、ライヒなどのミニマル・ミュージック、そのままである。これは、アイヌの伝統音楽そのままなのだろうか?

 この曲の動画はないようだが、たまたま2年前にネットドラマのエンディングテーマとして使われたという「Sonkayno」という曲のビデオを見つけた。曲の雰囲気はわかっていただけると思う。

https://www.youtube.com/watch?v=WokvUb-SQo0

 「コトバンク」によれば、「アイヌ民族の音楽において最も重要で数が多いのは,祭りに関係して歌われるウポポとリムセである。ウポポは大勢が輪になってすわり,行器 (ほかい) のふたを軽くたたき拍子をとりながら歌うもので,少しずつずれて歌い継いでゆく独特の演唱法に特徴がある。」とのこと。一方、マレウレウのプロフィールは、「アイヌの伝統歌「ウポポ」の再生と伝承をテーマに活動する女性ヴォーカルグループ。さまざまなリズムパターンで構成される、天然トランスな感覚が特徴の輪唱など、アイヌROOTSのウポポを忠実に再現する貴重なアーティスト。」と紹介されている。なので、これらを見る限り「Sikata KuyKuy」や「Sonkayno」は、まさにそうした「ウポポ」そのものの再現なのだろう。

 アイヌ文化は12、13世紀に遡ると言われているらしい。ミニマル・ミュージックは前世期中葉に登場するので、どちらが古いかはもはや議論する気にもなれない。かなり以前の話になるが、西村朗氏の『ケチャ~6人の打楽器奏者の為の』を実演で聴いて、「こんな音楽があるのか」とひどくびっくりしたものだったが、のちにそれがインドネシア・バリ島の民族音楽「ケチャ」とそっくりだったので、それ以上にまたびっくりしたことがあった。同じように、ライヒの『クラッピング・ミュージック』などはアフリカ・ガーナのドラミングのリズムをモデルにしているというような説明を聞いたことがある。が、「ウポポ」のほうがずっとミニマル・ミュージックぽいのではないだろうか。もし、「ウポポ」について詳しい方がいらっしゃったら、参照すべきサイト情報などぜひご教授いただきたい。

 上記の「Sikata KuyKuy」は、『mikemike nociw』(Tuff Beats/Chikar, StudioUBCA-1065)というCDに入っている。

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