2015年12月26日 (土)

Universal ClassicsがNaxosMLに加盟

 本日、遅い朝食時に何か音楽でも流そうかと思い立ち、ナクソス・ミュージック・ライブラリー (NML)のサイトをMacintoshで立ち上げた。と、トップ画面の下の「新着タイトル」の欄に、僕が愛聴しているアリシア・デ・ラローチャの「グラナドス:スペイン舞曲集」のジャケット画像を見つけた。これはDeccaの盤だがと思い確かめてみると、まさにそのとおり。ということは・・・と思い立ち、今度はトップ画面から「最近の記事」欄を見てみると、なんとそこに

「Universal Classics(Deutsche Grammophon, Decca)」が新規参加(2015年12月19日)

の文字があった・・・「ユニバーサル、お前もか?」

 両レーベルともまだ18曲づつと少ないが、ダムラウがコンスタンツェを歌った『後宮からの誘拐』※や、バレンボイムとドゥダメルのコンビによる『ブラームス:ピアノ協奏曲第1番, 第2番』など、一部新しい盤もある。メジャー・レーベルの参加としては、「Warner Classics」「Erato」「Teldec」3レーベルが2012年に加わっており、アーノンクールの諸盤も加わった。2014年にはそのワーナーが「旧EMI」と「Virgin Classics」を買収。その関係で、クレンペラーやラトルなどメジャー・アーティストの盤が一気に聴けるようになった。カラヤンの有名盤もかなりのものが聴けるようになっているし、これからDGの分もどんどんと増えていくとするなら、末恐ろしい気もしないではない。

 Apple Musicでも定額による音楽配信が始まっており、ここでSony/BMG系の新譜もかなり聴くことができる。つまり、クラシック界もついにネットによる音楽配信に制覇された、といって間違いがないだろう。

 「2015年12月19日」、この日はまさにその記念日として、ずっと記憶されていくのではないか。

※さっそく上記『後宮からの誘拐』を聴こうと思ったら、なぜかすべてのトラックが「序曲」になっていた。おせっかいとは思ったが、その旨メールを送ったら、すぐに「視聴できません」状態になり、今、現在、カタログから消えている・・・

(2016/2/5の付記)本日、NMLを訪れてみたら、以下のようなお知らせがあった。
「Universal Classics(Deutsche Grammophon, Decca) 配信タイトル追加のお知らせ(約800タイトル)(2016年1月26日)
先月より配信を開始し、絶大なるご好評をいただいておりますユニバーサルミュージックのタイトルにつきまして、1/19に約600タイトルを追加配信しましたが、本日さらに819タイトルを追加致しました!ほんの一部ですが、配信タイトルを下記にご紹介いたします。
今後もさらにタイトルが追加される予定ですので、どうか楽しみにお待ち下さいませ。」
で、カール・ベーム指揮のモーツァルトのセレナーデを楽しんでいます。

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2014年2月 9日 (日)

ハイドン・アラカルト

 クリストファー・ホグウッド/アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの「ハイドン交響曲全集」(L'OISEAU-LYRE)は、いわゆる「シンフォニー」の概念にある曲を包括的にまとめた「モーツァルト交響曲全集」の第2弾として、多いに注目された企画であった。が、残念ながら、途中、第75番まで収録した第10巻で中断してしまった。奏者や使用楽器まで記載されている上、彼らのていねいな演奏は資料的価値も高い。またなんといってもランドン以降の研究を踏まえたジェイムズ・ウェブスターの新しい解説がすばらしく、それを読むだけでも価値がある(日本版では、第4、5巻などわざわざ日本の学者さんのものに置き換えられた巻があるので注意が必要。輸入版の中古が安く買えるのでそちらで読むことができるし、下の記事も参照)。曲数としては上記のほかに第107、108番、そして別に1枚もので出されていた第94、96、100、104番があり、計81曲。ただし、この全集企画には中断した第75番のあとにもう2曲、第76、77番が録音されていて、これはなんと英国の雑誌「BBC music magazin」の付録で出されていた(2005)。一昨年あたりになってこのことを知った私は、しばらく中古CDショップなどでこの盤を探していたが、結局見つけられないでいた。2012年の年末あたりに、この未完成全集の既存の録音をまとめたボックスセット(32CD)がUniversal Italyから出され、しばらくベストセラーにもなっていたが、追加の2曲はこれにもなぜか未収録。ところが先月末になって、偶然、アメリカの、というか本家のアマゾン=Amazon.comに、このCD(雑誌はついていないが新品)が出品されていることがわかり、早速注文したところ、わずか!1週間で届いたので、今、聴いているところ。曲順は第77番変ロ長調からになっていて、高いアルトで吹かれるホルンの音色も美しく、雪景色の朝にふさわしい。細心の注意でもって奏される第2主題のなつかしさは、ホグウッドならではである。ゆったり歌った第2楽章もこれ以上はないくらい美しい。この時代の曲は、いわゆる疾風怒濤期のあと、そして「パリ交響曲集」の前という狭間の時期で、この曲など全集以外の録音は極めて少ない。本日現在、まだ出品があるようなので、興味のある方はぜひこの機会にどうぞ。

 追加で、ハイドン情報を少し。ハイドン106交響曲視聴記録(最初期編)を書いているときから時折、利用していたのだが、ネット上に2009年のハイドン・イヤーを記念して彼の交響曲情報を集めた「HAYDN100&7」というサイトがある。

http://www.haydn107.com/index2.html

 このサイトのすばらしい点のひとつは、ドラティ、フイッシャー、ホグウッドという3大全集(ホグウッドは上記のように未完成だが)の演奏が、ストリーミングで聴けるということ。むろん、曲の一部だけ視聴というわけではなく、全曲が聴ける(414 movements.あるそうだ)。最初、これを見つけたとき、非常に便利だがもしかしていわゆる海賊サイトなのかと思ったくらいで、そのためここでも紹介するのをためらっていた。音源だけでなく各曲に、楽章ごとの曲頭譜例、上記ウェブスターの曲目解説等もついているという本格的な内容。Haydn FestivalのArtistic Director、Dr. Walter Reicher氏の序文によれば、「For this we extend our thanks to Universal Music and Brilliant Classic. 」と書かれているので、たぶん著作権者の承認を得ていると思われるが、いつまで存在するのかわからないのでここでご紹介しておくことにする。

 もうひとつおまけで。私がいつもお世話になっている輸入楽譜店アカデミア・ミュージックのPR誌「アカデミア・ニュース」については、以前、その記事の充実ぶり、というか書き手の社員さんの博識ぶりについて紹介したことがある。2014年1・2月合併号に、ハイドンの交響曲第46番(ロ長調の曲)の新ハイドン全集版の演奏譜がベーレンライター社から出たという記事があり、その記述がまた興味深い(同ニュース341号、PDF版)。

「「告別」の嬰ヘ短調も珍しいのですが、こちらはロ長調という交響曲では例のない調性です。ホルンの替え管にH管は存在しないはずなので、C管で抜き差し管を限界まで伸ばしたか、替え管を特注した可能性があります。この特異な響きの交響曲をエステルハージ家の人々はどのように聴いたのか気になるところですが、その後、奇抜な調性の交響曲は書かれていないので、この悪戯は不首尾に終わったのか もしれません。」

 ホグウッド全集の同曲の解説にも、1772年にハイドンの楽団が「2本のクルック(半音替え管)」(ウェブスターの原文では「'half-step slides'」)を同時購入したことが書かれている。おかげで、新たに調べてみたいことができた。

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2011年2月 6日 (日)

ミンコフスキ、ウィーンの『アルチーナ』を全編配信

 今朝、早起きをしてメトロポリタン・オペラの『シモン・ボッカネグラ』の生中継をネットラジオで聴いた。ホロストフスキーがタイトルロールを歌い、フィリットリ、フルラネット、ヴァルガスなどメトらしく脇役も豪華。指揮のレヴァインは意欲的な指揮ぶりで、終幕後も大喝采を浴びていた。と、一息ついて、少しネットを見ていたら、とんでもない情報を見つけてしまった。というのも、つい先月、同じくネットオペラで現在、絶好調のミンコフスキが振ったヘンデルの魔法オペラ『アルチーナ』を聴いたのだが、このプロダクションのライブ映像が全幕!オンデマンドで配信されているというのである。確かにこの上演の映像は一部 YouTube にもアップされているが、全編が聴けるなんて・・・半信半疑で見てきた。

http://www.servustv.com/cs/Satellite/Article/Alcina-011259328803061

 本当にありました!(現在、第2幕を視聴中です)

http://www.servustv.com/cs/Satellite/Article/Meisterwerke---Arien-aus--Alcina--011259333862243
(2011.2.16、どうやら30分ほどのダイジェストの配信になったようです。リンク張り替えます)

 こちらもハルテリウス、カサロヴァ、カンジェミとスター級を揃えた上に、演出(舞台)も大変美しく見応えがある。もちろんミンコフスキ指揮の古楽オケも見どころのひとつで、時折、ソロ奏者が舞台上にあがって文字通り歌手と競演する! カサロヴァのヘンデルは苦手という人がいるのもわかるけれど、彼女が星空のもとで歌う第2幕第3場のルッジェーロの独白「甘い愛がわたしを魅する」はさすがに見事。この曲を、声楽的技量とは別に、これほど情感豊かに「歌として」歌える人がほかにいるなら教えてほしいくらい。配信期間は示されていないようだが、見ることができるうちにぜひ多くの方に見てほしいと思う。しかし、前記事のニューヨーク・フィルのアーカイヴといい、このオンデマンド配信といい、本当にネット時代がきたのだと実感できる日々だ。

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2011年2月 5日 (土)

ニューヨーク・フィルハーモニック・デジタル・アーカイヴ

 知っている人は知っているのかもしれないが、僕は最近、初めて訪れてまさにびっくりしたサイト。ニューヨーク・フィルのサイト http://nyphil.org/ の下段に「Leon Levy Digital Collections」というリンクが張られていてここをクリックすると、表記のアーカイヴが現れる。このサイトの売りは、何とニューヨーク・フィルの演奏で使われた指揮者用のスコアが丸々閲覧できること。しかも、ちょうど iPad でデジタルブックを見るようなインターフェイスで、クリックするごとにページがめくれていく。すばらしい!

 指揮者はバーンスタインが主だが、なかにはマーラーが1909年の12月16,17日に、交響曲第1番『Titan』のアメリカ初演をしたとき(マーラー自身がこの曲を振った最後の演奏でもあるらしいが)に使ったスコアというのもある。これはその後、ワルターとバーンスタインが使い、それぞれ書き込みをしたものというのだから、これは国宝級の記録ではないか(アメリカに国宝があればだが・・・)。

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/d629e8eb-d756-41d1-bf8d-7ad5d2c13cfc?search-type=singleFilter&search-text=Mahler&doctype=printedMusic&sort-order=asc&sort-column=npm:ComposerNameShortTitle_facet&page=3

 ほかにマーラーだけで44冊、モーツァルトなら90冊とかなりの数のスコアが登録されているようで、まだだ僕も全容はつかめていないが、少しでも早く誰かに伝えたくなって、ここに書いた次第。これはアイディアといい、記録の公開の仕方といい、第1級の仕事だ。指揮者の使ったスコアを見ることは我々音楽ファンの夢のひとつであり、たまに本で1、2ページを見ることはあっても、こうでもしないと絶対に参照できないものだ。ニューヨーク・フィルさん、ありがとう。お礼に、バーンスタインの交響曲ボックス、注文しますw

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2011年1月 1日 (土)

ベートーヴェン全曲演奏にマゼール登場

 おおみそかの午後から、毎年年末恒例のベートーヴェン交響曲全曲を一日で演奏するコンサートが開かれた。いつも日本のクラシック業界の不毛さを訴えている筆者だが、この日ばかりは感激! なんとこのコンサートの模様が、ustreamでネット配信された。映像こそ少しかくかくしているけれど、音は十分。いや十二分。会場の残響もちゃんと入っている雰囲気豊かなもので楽しめた。

 マゼールも意欲十分。多少のけれん味もこの場合、いいアクセントになっている。オケも懸命に弾いていて、某国営放送オケとは大違い(コンマスは同じなのに。。。)。Twitter上では何人もの方が会場から実況中継(もちろん文字で)されていて、映像と合わせて見ると会場にいないのになにか臨場感らしき気分も味わえる。この新しい体験に、ネット時代の可能性を見たのは、僕ひとりだけではあるまい。慶応大学をはじめ関係者の努力に感謝!

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2010年9月13日 (月)

リゴレットをドミンゴが!

 「リゴレット ドミンゴ」とネットで検索すると、彼がノーブルなマントヴァ公爵を歌ったジュリーニ指揮の盤(DG)が当然のようにヒットしてくる。でもこの9月、文字通りドミンゴがバリトンの難役リゴレット役を歌うプロダクションがあった。こちらのマントヴァ公爵は新進テノールのヴィットリオ・グリゴーロが担当。スパラフチレはルッジェーロ・ライモンディ、指揮はズビン・メータという豪華な布陣。後ろの2人とドミンゴの顔ぶれは、かつてローマで「その時、その場所」で再現された『トスカ』(1992年)を思い出す方もあるだろうが、これもマントヴァで行われた「その時、その場所」シリーズの1作らしい。映像版は先週末、世界138カ国に衛星放送で中継されたらしいが、昨夜(というか今日の未明)、イタリア放送協会のRai3から音声バージョンがネット放送されていたので聴いてみた。

 ドミンゴはデビュー時はバリトン歌手であり、少し前にはシモン・ボッカネグラを歌うというのも話題になったから、最初「オペラキャスト」サイトで「リゴレットをドミンゴが・・・」というタイトルを見たときから、そう驚きはしなかった(マントヴァ公爵を歌うと聞いた方が余程驚いたかもしれないくらい)。第1幕後半のジルダ(ユリア・ノヴィコヴァ)とのまるで恋人同士のような柔らかなやり取りも新鮮だったが、やはり注目すべきは第2幕だろう。例えば、娘を誘拐されたリゴレットの有名な「ララ、ララ、ララ」という登場の歌。ここでの「泣き」と「ため」の入った表情的な歌唱は、一聴に値する。もともと道化リゴレットには「雄大さと同程度の脆さ,バリトンの重さと同程度の明るい軽さを必要とする(レオ・カール・ゲルハルツ『名作オペラブックス リゴレット』音楽之友社刊)」のであり、その意味でドミンゴの挑戦は決して「単なる興味と話題づくりで歌ってみました」というようなレベルでは全然ないことがわかる。一方、メータの指揮はかなり遅めのテンポで、こちらもドミンゴ同様の表現力を誇る。僕は以前、彼の指揮する『ドン・カルロ』をミュンヘンで見たが、そのときもオケの力に圧倒された憶えがある。グリゴーロもなかなか意欲的な歌いまわし。いずれNHKが映像付きで放送するだろうから、それを見るのが今から楽しみだ。

※ちなみに今日現在、例の動画サイトには「映像版」の部分がいくつかアップされているようだ。

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2010年2月28日 (日)

ネトレプコの『ボエーム』放送

 今晩、メトロポリタン歌劇場では、ネトレプコがミミを歌う『ボエーム』が上演される。アメリカの多くのFM局から中継があるので、ネットを通じて日本でも聴けるわけだ。ネトレプコは、元々2008年のシーズンにメトでこの役を歌う予定だったのを、産休で1年繰り延べしたらしい。相手役のロドルフォは、ピョートル・ベチャーラで、この二人は2011年6月にメトのジャパン・ツアーでも『ボエーム』の主役を歌うことになっているから、今回は一足先に聴けることになる(2007年にチューリヒ歌劇場の一員として来日している)。

http://www.japanarts.co.jp/MET2011/index.htm

 ネトレプコのミミは、おなじみのヴィラゾンとのコンビで出た映画があって、僕はかなり気に入ってる。特に第3幕の<雪の別れ>の場面は、今、旬である二人の勢いが感じられる好演だった。ベチャーラは、まだ日本ではチューリヒでのマントヴァ公爵(『リゴレット』)がDVDで聴けるくらいだが、若いしネトレプコと並ぶと舞台映えがするだろう。

 メトの恒例のラジオ中継。今年に入ってからも、ガランチャの『カルメン』、バリトン!のドミンゴによる『シモン・ボッカネグラ』、ダムラウの『連隊の娘』と話題の公演が続いている。日本では午前3時から(冬は)と非常に眠たい時間帯だが、今回も楽しみである(ところで、なぜ日本の劇場やオケは、こういうサービスをしないの?)。

Title: La Bohème, Composer: Puccini, Conductor: Armiliato, Marco, Ensemble: Metropolitan Opera Orchestra, Soloist: Netrebko, Anna, soprano; Cabell, Nicole, soprano; Beczala, Piotr, tenor; Finley, Gerald, baritone

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2010年2月12日 (金)

BPOデジタル・コンサート・ホール無料開放!

 皆さん、とっくにご存知かもしれないが、14日日曜日の午前11時からのベルリン・フィルのコンサートを、同楽団のネット配信である「デジタル・コンサート・ホール」が無料でリアルタイム中継される(確か、昨年のオープニング・コンサートに続く無料配信)。日本時間では、午後7時からとちょうど鑑賞にはいい時間だろう。いや、無料ということより何よりプログラムがすごい。ラトルの指揮で、クルターグの『シュテファンの墓碑』、シベリウスの交響曲第4番、そして最後がなんと内田光子のソロでベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調(全5曲を続けて演奏するチクルス中)。ドイツ銀行グループが支援しているらしく、今日の朝日新聞にラトルの顔写真入りの4段抜き広告があって、そこにはなぜか「詳細につきましては・・・

http://www.db.com/japan/

をご覧ください。」とだけあったので、このサイトを覗いてみたら、「2010年2月14日午後7時(日本時間)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートをネット上でライブでご鑑賞頂けます。」とあり、さらに「詳細はこちらをご覧下さい。」をクリックすると、やっと上記の「無料ネット鑑賞」の文字が現れる。同じ画面の「今すぐご登録ください」と書かれた赤いボタンを押すと、名前とメールアドレスを登録する画面が出るので、お間違えのないように(笑)。なぜこんなにもったいぶったPR方法を取るかは不明だが、プログラムを見る限り、いつもは有料の「デジタル・コンサート・ホール」を試聴してみる以上の価値がありそうだ。ここは素直に、ダンケシェーン、ドイチェ・バンク!

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2009年5月30日 (土)

プリンセン運河のカサロヴァ

 アムステルダムでは、毎夏、Prinsengrachtconcerts なる音楽イベントが行われている。これは、プリンセン運河の上で行われる水上クラシック・コンサートで、料金はなんと無料。会場となるホテル・ピュリッツァー前には、場所取りのため自前の船で観覧に駆けつける常連も多いというから、いかにもオランダらしいイベントだ。2004年にはヴェッセリーナ・カサロヴァが登場したが、その模様が Netherlands Public Broadcasting のサイトで配信されている(「ハイライト」とあるが、優に1時間はある)。

http://www.nposales.com/?article=1504&template=program

 会場には2万人の人があふれ、食事や飲み物を楽しみながら思い思いのスタイルでイベントを楽しんでいる。野外ステージ上には、白いパンツ・スーツでさっそうとしたいでたちのカサロヴァ。チャールズ・スペンサーのピアノ伴奏で、持ち役の『タンクレーディ』(ロッシーニ)からまず2曲。そこに突然、ステージ前に係留されていたボートから「ヴェッセリーナ!ヴェッセリーナ!」との掛け声が。「トーマス!トーマス!」と応じるカサロヴァ「こっちへ」・・・というちょっとありがちな演出で、アムステルダム生まれの新進バリトン歌手、Thomas Oliemans が登場(彼は今夏、ザルツブルク音楽祭にデビューするはずだ)。あいさつ代わりに、ドン・ジョヴァンニの小粋なセレナーデ「Deh, vieni alla finestra, o mio tesoro, ねぇ、窓辺においで、愛しい人よ」をカサロヴァに捧げる。

 このあと、彼女のふるさとであるブルガリアのフォーク・ソングを2曲、万感の思いをこめて歌い上げる。これは、当晩の白眉!。そして、グルックのアリアを1曲歌ったあとに、これまた彼女の当たり役からからセストの大アリア「Parto, ma tu ben mio, 私は行くが、でもいとしい人よ」(『皇帝ティートの慈悲』)と、カルメンの「L’amou est un oiseau rebelle, 恋は野の花」を歌うあたりで、会場は最高潮の盛り上がりを見せる。カルメンでは最初、手拍子まで出て、立ち上がり踊りだすカップルも数知れず。が、曲がさびの部分に入ると、皆黙ってカサロヴァの歌に引き込まれていくあたりは、ちょっと感動的でもある。

 でも実は、今日、僕が一番感動したのは、アンコールの2曲(『セヴィリアの理髪師』から)が終わって、スタンディング・オーベイションの中、カサロヴァとオリーマンがおもむろに楽譜を取り出して歌った半世紀前の流行歌『Aan de Amsterdamse grachten, アムステルダムの運河のほとりで』(Pieter Goemans が1956年に作詞作曲)。文字通り、会場全体の大合唱となり、このすばらしい「楽興の時」は過ぎて去っていく。運河をわたっていく涼しい風とともに・・・ 

※追記 カサロヴァの歌ももちろんすばらしいが、途中、カメラに写されるアムステルダムっ子たちの満足げな顔つきを見ているのが、結構、僕はおもしろかった。もし可能ならば、初夏の夜などにこちらも部屋を暗くして、ワインなど片手にゆっくり鑑賞されてはいかがだろうか。

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2009年5月 3日 (日)

本日のネットオペラ(3.5.09)

 連休中のあいだ、少しばかりネットオペラの宣伝を。

 今晩は、現在、フランスの放送局からサミュエル・バーバーの『アントニーとクレオパトラ』をマチネー・オペラとして放送中。続いて、午後11時(日本時間)からは、イサーク・アルベニスの没後100年を記念して、歌劇『ヘンリー・クリフォード』がバルセロナの放送局から放送される。ともに珍しい出し物だろう。午後11時30分からは、ニコラス・モーという作曲家の歌劇『ソフィーの選択』。映画にもなったウィリアム・スタイロンの同名小説からのオペラ化だろうが、かつてラトルが世界初演したもののアメリカ初演と思われる。キルヒシュラーガーとギルフリーが出演しているという豪華な配役が注目される。午前2時から、これまた珍しい作品で、グルックのライバル=ニコロ・ピッチンニ(ピッチーニ)の歌劇『チェッキーナ』がマドリッドの放送局から。1990年のイタリア、マルチナ・フランカの上演記録のようである。ここで毎夏開かれるヴァッレ・ディートリア音楽祭は、珍しい作品の上演で知られているらしいけれど、僕の語学力ではちょっとあやしいものだから、これ以上は言えません(すみません)。午前3時から、昨日と同じコヴェント・ガーデンの『さまよえるオランダ人』が、ブラジルの放送局から再放送される。午前4時5分からドイツから、おなじみのヘンデル『メサイア』が。これは先月の14日にロンドンで演奏されたもの。明日朝7時からは、昨日紹介したヘンデルの『パルテノペ』の再放送が、テキサスから。今年はヘンデル・イヤーとあって、さすがに毎日のようにヘンデル作品が放送されているので、バロック・ファンにとって幸せな1年になるのでは。

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